ちよみ自然農園体験
リポート1
伝統農法を実践している、温かくて懐かしい場所。「やいの夢」で身も心も健康になる、農業体験。
やいの夢の農園
大分県竹田市大字福原で無農薬栽培を行っている河野ちよみさんの農場と加工場「やいの夢」にお訪ねし、農業・加工体験をさせていただきました。どんな体験をどんな想いで提供しているのかお話を伺いました。
奥様:河野 ちよみさん(以下、ちよみさん)
ご主人:河野 通友さん(以下、通友さん)
「やいの夢」代表のちよみさんと通友さんと一緒に
竹田市は大分県の南西部に位置する市で、かつては岡藩の城下町であったところです。ちよみさんの農場と加工場「やいの夢」は竹田市の中心部より北西に位置した福原と呼ばれるところにあります。湧き水に恵まれた緑豊かな場所で、近くには久住高原もあり、雄大な自然を感じることができます。
やいの夢の農場
こんこんと湧き出る清水
この地でちよみさんは江戸時代の岡藩の冥加訓*¹の農法を学び実践しています。郷土愛や地域貢献へも想いのあるご夫婦です。私はほぼ初めての農業体験で少し緊張していましたが、お二人ともとても温かで親しみやすいお人柄で安心しました。初心者に対しても農業のことや竹田のことなど、何でも優しく教えて下さるお二人です。
体験1日目
楽しく麦踏み作業
1日目は、麦踏み体験をさせていただきました。麦踏みは、秋播きの麦類が発芽した後に足で踏みつける作業のこと。現在では機械化されている農場も多いですが、こちらは伝統的な方法で、土が乾いた状態で作業者がカニの横歩きのように畝を足で踏みつけていきます。この作業をすることで麦が強くなり元気に育つことや霜に強くなるという効果が期待できるそうです!
麦踏みを慣れた足つきで行う通友さん
麦踏みは初めてでしたが、通友さんに教えていただきながらやってみました。「元気に育て!」と念じながらギュっギュと土を踏みしめていきます。一畝一畝やり終えると達成感があります。1人ではないので時々通友さんとお話ししながら楽しく作業できました。土が柔らかいので関節への負担も少なく、吹き渡る風を感じながらの作業で気持ちよかったです。終わったあとは心地よい疲労を感じました!麦の成長が楽しみです。
体験2日目
加工作業のお手伝い
2日目は、「やいの夢」の加工場にて5色餅づくりのお手伝いをしました。ちよみさんが育てるお米の特徴は、何と言っても無農薬で安心安全に食べられることです。‟孫に食べさせたいお米”をコンセプトに長年の間、農薬を使わない栽培にこだわってきました。その代表商品が香り米や古代米などのもち米です。加工場に入った瞬間から、ふわ~っとしたいい香りに包まれて思わず「いい香り~!!」と声に出してしまいました。
ちよみさんの育てた古代米、エネルギーたっぷり
炊きあがった香り米、いい香り
今回はこれら色々な種類のお米をお餅に加工して商品づくりをするお手伝いをしました。工程としては、
①お米を蒸す
②お米を炊きあげる
③餅製造機で餅にする
④手作業で丸める
⑤乾燥させる
の5つがあります。今回は特に④の手作業で丸めるところをお手伝いしました。
ちよみさんがお餅づくりを先導します
通友さんとお餅を丸めているところ
おもちが出来上がっていきます
おもちが出来上がっていきます
出来上がったお餅は乾燥させていきます
最終的にパッキングするとこんな感じです
お米からお餅づくりをお手伝いさせていただき、最後は5色のお餅ができました。作業終わりには皆でお餅をいただきました。ちよみさんが栽培するお米は、無農薬はもちろんのこと掛け干しと水力精米で甘さを引き出していることも特徴です。できたてのお餅は弾力と香りがあり、力が湧き出るような美味しさでした。
ちよみさんに、農業をしていて嬉しい時はどんなときですか?と聞いてみると、「皆さんが『美味しい』って言って買ってくれる時です。そして育てている間は植物や動物などの自然を見られるから、それも幸せです。花が咲いたときや収穫の喜びも感じられるでしょう。私は、農業は神さまに一番近い仕事だと思っているの。夜は空を見上げて『今日も一日頑張ったな』ってきれいな星や月を眺めるんですよ。」
「農業は全然飽きません。いろんな作物や農法を試すことができるから終わりがないんですね。私は安心安全で美味しいものを提供したい。環境にやさしいものを。」と答えてくださいました。
画家さんが即興で描いてくれたメッセージ
お母さんの夢は「みんなに健康で元気でいてもらうこと」
やいの夢に想いを託して・・・。
ちよみさん、通友さんの農業は今日も豊かな竹田の地にあります。
*1 冥加訓・・・冥加訓(みょうがくん)は岡藩の儒医であった関一楽が書いた心学書。
日常の道徳等、健康でいられるための在り方を分かりやすく説いたもの。